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DQⅢプロローグ ~6 years after~③

―3―

「オルテガ様は、既に死亡しているようです」

 王様が嘆息を漏らす。一方私は…正直この結果を予想していた。と言うより、回復しない世界情勢、一年前に途絶えた足取り。この二つを結びつければ、自ずと答えは出る。だから覚悟は出来ていた。…でも、やっぱり改めて言われるとちょっと辛い。

「死亡している“よう”とは?」

 大臣が王様に代わって質問している。それは私も気になる所だった。

「オルテガ様は魔物との戦闘中、ガイア火山の火口に落ちてしまったらしいのです」

「つまり、死体が無い、と言う事か」

「そうですね。確かに生存している確率は全くの0%ではないですが、限りなく0%に近い事も事実です。何しろ、火口に落ちていく様を実際に見ている人がいますから」

 アッサラームに到着した兵士・ジェームスは、聞き込みを続けていくうちに一つの情報を得る。アッサラームからバラモス城のあるネクロゴンド地方に向かったオルテガには、船の操舵士として一人の男が同行していたらしい。その男は現在、イシスに行商に行っていて、帰って来るのは3日後になるのだと言う。仕方が無いので、あくまで仕方が無いので、ジェームスはアッサラーム名物のベリーダンスを鑑賞して、3日を潰したそうだ。…別にそこまで強調しなくていいのに。
 そしていざ3日後、行商から帰ってきた男・ガザを捕まえて話を聞いた。すると、詳細はこうだった。





 オルテガをネクロゴンド・ガイア火山付近に送った後、ガザはすんなり帰る気になれず船の上でオルテガを見守っていた。ここはバラモス城にほど近いネクロゴンドだ。どんな怪物が出てくるとも知れたものではない。オルテガの様な勇者ならいざ知らず、ガザはただの一般人。元より長居をする気などない。だからオルテガの姿が見えなくなったらすぐに帰るつもりだった。そしてそれはオルテガの意向でもあった。

 オルテガは順調に火山を登りきった。そこまで見届けたガザはそろそろ帰ろうとした、その刹那。オルテガの眼前に一体の魔物が舞い降りた。
 巨人のような鋼の体躯、馬とも犀ともつかない頭、奇形な漆黒の翼、そして手には“ハルベルト”と呼ばれる巨大な槍斧。あれが噂に名高い、魔王バラモスの参謀の一人、ミノタウロスだ。
 二人は何事か会話をしているようだ。しかし、遠すぎてガザの耳までは届かない。しばし成り行きを見守っていると、唐突に決戦の火蓋が切って落とされた。

 この時ガザは、世界の勇者と謳われるオルテガの凄さを、改めて目の当たりにする事となる。
 足場の悪さをものともしない軽やかな身のこなし。多彩にして流麗な剣技。更には強力な呪文をいとも容易く操る魔力。相手が並の魔物であったなら、一刀の元に切り伏せて、既に勝負はついているであろう。しかし、相手は魔王軍きっての実力派。簡単にどうにか出来る相手ではない。それでも平地での勝負であったなら、確実にミノタウロスを圧倒していたであろう事は明白だ。それ程にオルテガは強かった。

 火花散る剣戟。打ち合う事既に20合以上。全てが必殺となり得る一撃を繰り出し続ける両雄。しかし互いに決定打は与えさせない。
 ここまでの展開はほぼ互角と言っていいだろう。
 とはいえ、地の利は敵に在り。足場を気にしなければならないオルテガに対し、飛ぶ事の出来るミノタウロス。次第に勝負の行方は傾いていった。

 戦闘は決着を迎える。ミノタウロスの放った呪文がオルテガの足元を薙ぎ払う。が、その刹那、オルテガは相手に飛び掛り、空中で身を翻し見事に片翼を切り飛ばした。だがその後、ミノタウロスが闇雲に振り回したハルベルトが、オルテガの背中を直撃。オルテガは成すすべなく火口へと落下していったのだった―――――





 そこまで語り終えて、ジェームスは一息ついた。

「なんと、ミノタウロスとな…」

 王様が言葉を洩らす。私ですら名前だけは聞いた事があった。魔王軍の中にあって、理知的で勇猛な将軍なんだとか。

「話を聞いた後、オルテガ様の遺品でも見つけられればと思い、火口付近を探索しました。すると、こんなものが見つかったのです」

 そう言ってジェームスは私に向かって右手を差し出した。その手には何か鈍く光るものが乗っている。
 私はその光るものを受け取った。それは、ボロボロに傷ついた私とオルテガの結婚指輪だった。裏面には『ORUTEG&MARIA』と刻まれている。間違いない。

「ご苦労じゃった。お前が妙に軽装な理由は後々追求するとして、取り敢えずもう下がってよいぞ」

 ジェームスは若干納得のいかない顔をしつつも、一礼して謁見室を出て行った。

「…すまぬな。オルテガ一人に何もかも押し付けてしまったばっかりに…」

「…いえ、戦って逝ったのならあの人も本望だったでしょうから。それに覚悟は出来ていました」

 私は指輪を握った右手を抱くようにして答えた。そうすれば、少しはあの人のぬくもりが感じられると思ったから。
 ふとアレルの方を見た。何か真剣に思い悩んでいるように見える。

「アレル、大丈夫?」

「…ん?だいじょーぶだよ、ママ」

 私が声を掛けると、いつもの笑顔が戻った。子供心に何か考えているのか。
 ……………まさか、旅に出たいとか、パパの仇を取りたいとか、思ってるの?

「今日は長い時間ご苦労じゃったな。せっかくのアレルの誕生日じゃと言うのに。また何かあれば、こちらから使いを送る」

「はい。それでは失礼します――――」






<あとがき>
今回はギャグなしでお贈りしております(笑)。まあ次も殆どないけど。戦闘シーンって何気に初めて書きましたけど、Fateの影響をヒシヒシと感じますね(苦笑)。だって実際影響されまくってるんだから仕方ないぢゃん!これ見てちょっとでもカッコいいと思ってくれた貴方は、即座にFateを買って来い!これの500倍カッコいいから!(奈須きのこ狂信者1号)
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by araya-shiki | 2007-04-21 09:55
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幾千の言葉を紡ぎ言霊を届ける新夜 詩希のブログ『BE THERE』。初めての方はカテゴリ『初めましての方へ』を読んで下さい。一応更新復活中。……変わってない? それはきっとタイミングの問題。


by araya-shiki
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